YouTubeで劇団柿喰う客の「美少年」をみたらドツボにハマった話
名前だけは聞いたことある劇団、柿喰う客がYouTubeで新たに作品を配信しますっていうのをTwitterでフォローしている人が勧めていたのが3月上旬、で、3連休の間に観てみるかーって観たらば、えげつなくドツボにクリティカルヒットして毎日2回は観ている。好きすぎてパンフを通販した。
劇団の公式チャンネルで他に配信されている作品も見ましたけれど、美少年がダントツでツボに入ってしまった。なんでかな。とりあえずチャンネル登録しました。
(2020.4.12までの期間限定公開です)
小劇場未体験の私が思う、小劇場だなぁ~!!!って感じ。狂気で卑猥で容赦ない。
小道具も舞台装置も無し、赤いジャケットに黒シャツ黒ボトムというそろいの衣装の4人の男。
開演前の諸注意からそのままシームレスに芝居が始まる。
ずっとものすごいスピードの台詞を怒涛の波状攻撃されている。
台詞早すぎて0.75倍速で見ても違和感が無い←
BGMはモニャモニャするけど、台詞は違和感ない。すっごい。通常速度でも聞き取れるから役者さんの滑舌どうなってんだ。
あとめちゃくちゃ動くからみなさん汗だくになっていくし髪の毛がびしゃびしゃになってくる。
だいたい60分なんですけど、情報量が3時間分くらいある…。なんだこれ…。
舞台上には俳優4人しかいないのに、老若男女問わずいろんな人物が立ち昇って来る。
ストーリーはここでは詳しく書きませんので各々検索していただいて…。
公式のあらすじに書いてある「かつて美少年だった男」って、あまりにも残酷な言葉だなって思いました。「今は何者でもない男」だもんな………。よく思いついたな……。
自分の美しさに自覚的な架空の人物が好きなので、ひばりちゃんどえらい好きになってしまった。好きというか、いとおしみ?萌え???もののあはれ???
美少年への執着とか美しさが自分の所有物でなくなってしまったのを小学3年生にして自覚してしまう様とか「美」に囚われてしまったまま生きる様とか最後のギャラリーでのあれそれとか、心臓がキ゛ュ゛ってなる。
あと単純に加藤さんの容貌が美……ていうかパコった女とセクキャバで働く女がめっっっちゃえろかったんですけど…酒の飲み方が尋常じゃなく色っぽかった……あれはなに………しっとり儚げ美人………官能小説的な色気の漂わせ方…。
あと関西人なので「切なる世間の声が具現化した禍々しい女」で爆笑した。兵庫の尼崎からアーバンライナーで三重まで美少年観に行く女。具体性がすごい。あと「赤福の餡をうぐいす餡にして…」って急にタクシー関係なくなる大喜利(三重仕様?)。
たぶん意味のない深読みだけど兼役というか同じ役者がこの役とこの役をやっているのって意図あるのかしらとか。
帰ってきたひばりちゃんをひばりちゃんと認識できない担任教師と美少年の彫刻を見てもアートがわからん美大生と花房が持ってきた絵画を「わけのわからんモチーフ」とか言っちゃうギャラリーの代表が大村さんとか、
平成には珍しいタイプの熱血刑事とひばりと水タイムって毎回人を殴る加藤さんと、富士谷雪美と蛇ノ目悌と水タイムって毎回殴られる永島さんとか、粘着テープと結束バンドとか、
落ちたエリート諸星進とかつて美少年だった男とか、
下校のストーキングはするけど変態ではないのでトイレは覗かない勅使河原先生とトイレで待ち伏せする変態もといアーティスト蛇ノ目悌の対比とか。
雪美を「あのブス」、花房を「不細工転校生」呼ばわりする「かつて美少年だった(ことに人生を狂わされる)男」。
推しの顔を褒めがちなオタクは勅使河原先生が他人事でなくて複数回観るとウッ…てしんどくなる。
外見の美しさだけで推しているわけではないけれども、美しさ以外にもたとえばこの作品のこのキャラは好きだけどとか方向性の転換とか見る側が時間や経験を経たことにより推しが推しじゃなくなるなど、他人に好きを投げつけておいて勝手にいなくなるとか自分の願望や期待を他人に背負わせるとか自分の人生を過剰に押し付けて我がことをおろそかにするなどしがちなので…こう、狂気とか気持ち悪さを笑える立場にないのでは…っていう気持ちになったりならなかったり。
狂わせたのは誰で狂っているのは誰。
見ていたのは誰で見ていたのは何。
時間的にちょうど半分あたりで点在していた要素がギュルルルルって一つにまとまる展開すごすぎて観るたびに鳥肌立つ。30回くらい見てるのに。
あのBGMが無音になって照明もプレーンになって「何やってんだよ、安下陽羽里」っていう、あの瞬間の、緊張感、映像で見ていても明らかに空気が変わるあれ。
全然関係ないけど1月7日を繰り返す安下陽羽里、七草粥以外にもちゃんと食べてたかな…。昭和の監獄、ひばりの実家ではない場所っぽくて、どこ。勅使河原先生どうやってそこがひばりの家と認識させたっていうかそこに来るように仕込むの大変では。どのくらいのペースで監獄の中にいたのか。とか。野暮なこと考えちゃう。
台詞のスピードが信じられないくらい早いのに耳なじみの良さが異常だし物語の緩急がすごいしメタネタ多めだしゲラゲラ笑ってたら急に背筋冷たくなって瞳孔開いちゃってすべてが一つ所に収束していって綺麗に風呂敷を畳まれる。
あと通販したパンフレットがこれまたキャスト4人総当たりで対談とか各人の年表とか充実度がすごい。
公式サイトの劇団紹介、「『圧倒的なフィクション』を標榜し…」って書いてあるあたり、フィクションに救われフィクションを愛している私としては信頼しかしないので、機会を見つけて生で観劇したいですね。
フランケンシュタインで気がふれた観客の呻き
なんかまとめ方がわからんけどアウトプットしないとしんどいのでとりあえず書くね。
とぅぎゃったーとかで一回まとめて体裁整えてから書いた方が良いんでしょうけど。
思いつくまま。
あきビクターなんか人間離れしているなという印象が強すぎて。あと歌うと僕こそミュージック!てなる。
でも酒場とかだとけっこう幼いというか。
生命創造への強い意志。
大阪であきかずあきこに観る予定があるのでもうちょっと深まるだろうか。彼を理解することが出来るだろうか。
「少し特別だった孤独な少年の物語」というワードがしっくりくるビクター。
かきビクターはマジで子犬みたいなときある。あきビクターと比べるとめっちゃ人間。
柿澤さんって愛情に飢えて渇望しているイメージがある。
人付き合いが面倒くさそう。自分の研究が理解されにくいものであることはわかっている。でも将軍に対して距離感おかしかったりするから別に人間全部が嫌いというわけではなくて、自分に付いてこられる人間だけを選別している。
そういう意味で、ルンゲは長年一緒にいるし世話も焼いてくれるし良い執事だとは思っているけれど知性とか感性は一般的な範囲を越えられないので20年以上お仕えしていてもあんな感じで、出会ってすぐのアンリに対しては論文で「自分と同じレベルの思考を持ち、同じ知的レベルで会話ができる」という信頼があるので距離感が近い。
ウォルターくんに下ネタぶちかますとこ、あっきーはそうでもないけどかっきーが言うとめちゃくちゃしっくりくるのなんでなん。
酒場のダンスが軽快。ただしオケピにゲロ吐くのはやめなさいよ。吐いた後かずアンリがハンカチで口元ぬぐってくれるのされるがままお任せしているので甘えん坊さんめ!!!かわいいな!となる。こにアンリはゲロのあとそこまで物理で世話焼いてない。
心をゆるしたひとの名前を呼ぶときの声が甘々になるのでかわいい。信頼がダダ漏れである。
なんか私が観劇した回(かきこに(12日))の「偉大なる~」でバチバチに神に喧嘩売ってて圧巻だった。エモてんこ盛り。
「呪い」の力を感じる。父の死のくだりとか、ジュリアの犬を蘇生したあとのステファンの言葉とか、幼少期に周囲の大人から浴びせられた言葉が呪いとなってそれを解くために研究に打ち込んでいるような。
「いい子にしててもママは死んだじゃないか!!!」が辛すぎる。毎回泣く。
ぜんぶ自分のせいだと思っているな?勝手に責任感を感じるやつは周囲のことを考えているようで自分のことしか見えていないのでやめた方が良い。周りはそんなにあなた一人に責任を押し付けたりはしていない。ただ真に理解し合うことはできないが。でも、愛されていたよ、ビクターは………。
あそこまでの研究をアンリが来るまでは一人でやっていたのだろうか。そりゃ助手とかいるだろうけども…。
誰にも心を許せない、理解されないと思っていたところにアンリと出逢ってマジで運命の歯車が回り始めたんだろうな…。この人とならできる、って思えたのがアンリだったんだろうな、って思わせる、好きな人への執着が強めのビクター。
あと北極ついたときの様子がボロボロすぎて初見でちょっと面白くなってしまった。ジュネーブから徒歩で来た?
ジュリアとのデュエットでロミジュリかな?ってなる。天使の歌がーきこえるーってどっちもロミオだわ。
みんなのことを大切に思っていたのに結局誰も救えなかったの悲しくなる。失ってあとから思い返して気づくっていう一番しんどいパターン。「後悔」が辛すぎる。
和樹アンリはめちゃくちゃスマートでイケメンなのに聖母み溢れてて途中でサイコパスだと気づかされるのでアンリに対しては最終的に恐怖が一番強く残る。怖すぎ。
酒場での立ち居振る舞いがスマートすぎる。さては女慣れしてるな?
ビクターの世話をめちゃくちゃ焼いてくれる。母。
でももうなにより「君の夢の中で」っていうかその前の♪あー人殺し―――のやつから、晒し者にされて罵られてもずっと微笑んでいて、このひとは、何者なのか…?ってなる。
ていうかもう酒場のシーンから間髪いれずにあーーー人殺し――――――なのでこれ合ってんの?私意識を失いましたか?ってなった。感情がついていかない。ちょっと笑ってしまう。
人間としての感情が無いのか?サイコパスって人から自分がどう見えているかに聡いから好感度は高いみたいなアレなのか?明らかに場にそぐわない表情をしているぞ?
朗らかに死ぬんじゃないよ。
そんな死に方されたらもう首持って帰るしかない。あれは呪い。君の夢は僕の夢でもあるんだから、あとは、わかるよね?ってニコニコ言われている。柿ビクターのメンタルは初めてできた親友が自分の罪をかぶって死ぬことによりズタボロなのでやめてあげてほしい。あきかずはまだ見てないのであきビクがどんな感じかはわからん。
なので、怪物がめちゃくちゃ怒って復讐してるのも割と自業自得なのではってなってしまう。怪物からしたらアンリは自分ではないので自業自得っていうとおかしいですが。
ある意味自覚的にビクターを狂わせたアンリ。ビクター割とかわいそう。なにより怪物がかわいそう。巻き込まれただけ。
和アンリは自分の首を使って実験を行うことを想定していたというかそのように誘導した気配があるのですが、その結果についてはどうなる想定をしていたのだろう。たぶん実験の成果については一番近くで一番深い理解をしていたはずなので、正常なというかビクターの求める姿で蘇生されない可能性を考えなかったのだろうか。
ていうかなんでツギハギなん?そのままアンリの身体持って来ればよかったんじゃないの????
起き抜けにルンゲを惨殺するとはさすがに想定してなかっただろうけど、人間として完成された状態で蘇生されるとは限らない状況の中で、自分の首を差し出すには時期尚早だとは思わなかったのか。蘇生された生命はアンリではないという想定はしなかったのだろうか。アンリとして蘇られると信じていたのか?あまりに無責任なビクターへの信仰では?
和怪物は怒りが強い。鎖を「音のでるおもちゃ」認識してめっちゃ笑顔で遊んでるのかわいい。でもそのあと首絞められるときも鎖をおもちゃ認識してニコニコしているので地獄。
あと関節の曲がり方が異常。どうなってるんですか。足大丈夫????
生まれた瞬間から「人間じゃない」感が強い。
道に迷っている様子が物理に感じる。そっちは森だよ~こっちだよ~~って言ってあげたい。あそこちょっと天然ぽいのなんで?かわいい。
私が観た回は最後ちょっと微笑んでいて、これは復讐を遂げたことによる笑顔なのか…?
あと今言うことじゃないけど和樹さん歌がうまいですね…。声量もあるし…。
小西アンリはマジで「君の夢の中で」が加藤アンリとは違う意味で衝撃すぎて(※初演みてない)
死にたくないって言えよ!!!!!!!!!シカゴから別人格連れて来いよ!!!!!!!!!!!牢獄といえば死にたくないだろうが!!!!!!!!(スリルミー)
自分の命には執着薄いけどビクターには執着しているので離れることへの未練がある。
なんか人間のことあまりよく思っていないような気がする。親がいないの闇が深い。Twitterで散々言われているけども。なんか幼少期に人間に対する絶望と不信を培っていそう。顔の良さで苦労してきたタイプ。その環境から脱するために勉強して奨学金で医学部入って医者になれば食いっぱぐれないしとかそういう現実的な理由で医者になってそう。でもなんで人体蘇生の研究に踏み込んだのかは謎。
自己肯定感が低そう。ていうか低い。確信。
酒場でいちいち絡んできた人の相手してるの、人間関係不器用って感じがして良い。加藤アンリは流せてるけど小西アンリは全員にぎこちないリアクションを取っている。でも柿ビクターと一緒になって酔っぱらってケラケラ笑ってるのはめっちゃかわいい。あなたの笑顔が見られてうれしいですよ…。ここくらいしか笑うとこないですからね…。そのあとルンゲの話聞いて2人して頬っぺたぺちぺちしてるのかわいすぎて客席で声をこらえるのに必死でした。ただし直後に地獄。
あと「お前は…良い奴だ…」でちゃんとチュってする。
アンリ達二人とも酒場ソングの「やらかそう」の歌い方がエロ方面に振ってるのなに?
君夢の「覚えてる?」とかの言い方、明らかにビクターの気を紛らわそうとわざと明るく振る舞っているのでしんどい。「笑ってよ」が写真撮るのに機嫌悪いこどもに掛けるみたいな優しい言い方で、日常の中にあるような言い方で、これから死ぬっていうのにそれは何でもないことだよって示してるみたいな言い方で、でも死ぬから「無理だよ一体どうやって!!!!!!(号泣」てなる。
「運命だと思って」が自分にもビクターにも言い聞かせている有無を言わせなさ。神は信じてないけど運命は信じるというか、これが運命だったんだなって今理解したみたいな顔で言うんじゃない生きろ。そのあと泣くぐらいなら、生きろ…(号泣
マジでビクターがいる間は無理やりにでも笑顔で、いなくなってから堪えきれずに泣くのずるい。あと泣き方がきれい。こりゃ毎日そんな心の動かし方で芝居してたら消耗するわ。
怪物としては、切なさと哀しみと淋しさ。誕生時の印象が「生まれてきてはいけないもの」「禁忌を犯して作られたもの」感が強かったのはプログラムのインタビュー読んだ補正が掛かっているからかしら。
人間が区別できるようになる一番最初の感情って「快/不快」なんですけど、冷たい鉄のベッドで生まれた怪物が抱きしめられたりコート掛けてもらって暖めてもらうとすごい笑顔になってコートへの反応がすごく良いので「人間として発達していくものが生まれている」のをすごく感じてしまった。感情の分岐が始まっている。だからビクターを後ろから抱きしめると力の加減が出来なさ過ぎてああなってしまうんですけど…。あとここでコートをめっちゃよろこんでるから、「ビクター」と自分をつなぐ物、人から与えられた唯一のものとしてずっと着てるのかなって深読みしちゃう。あの瞬間だけは存在を許されていた。まだ怪物じゃなかった。
ルンゲの喉笛噛みちぎった後、指突っ込んでげーげー吐いてるの苦しそう。人間美味しくないという学習をしたのかなって思っている。だからお腹空かして人里に降りても人間食べなかったのかな?単純に反撃される可能性が高いのを学んだからかもしれないが。
カトリーヌとのくだり、「すごく好きな人」として認識しているのが伝わってきちゃって無理みが強い。北極にくまいっぱいいるよ!って言われて「クマーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ってテンション爆上がりするのかわいすぎ。さすがクマオイシイの言い出しっぺ…。
チューバヤにボコボコにされて倒れてるのにカトリーヌ来たらずっと見つめているし手を伸ばし続けているので「バケモノ」って呼ばれた瞬間、表情も動きも硬直して心が壊れる音が聞こえてしまう。
「俺の創造主よ」って現れたときはめちゃくちゃ怒って復讐するのに研究所の時点ではもう全然楽しそうじゃなくて、ジュリアのところとかもう復讐に義務感を覚えているのでは。ていうかあんなにカトリーヌと心通わせててジュリア殺すのしんどくなかった?顔一緒でしょ?
森、振り返る小西怪物が美しすぎて悲哀漂いすぎて全身から孤独を発しているので、「誰か今すぐあの人を抱きしめてあげて!!!」ってなる。
「友達」っていう言葉を発した瞬間の小西怪物の表情の変化で涙腺がバカになる。あの瞬間にアンリの記憶を認識している。でも自分がアンリだったと認識するには怪物としての自我が発達しすぎている。アンリは親友の未来を守るために気高く覚悟を決めて命を差し出した、そんな死に方をした男の首を使って命を与えられた自分は「どう死ねばいい」って聞いてる。でも答えを出せずにいる。人間は。ここでも涙がきれい。
最後の「ビクター」はアンリの記憶を持つ者、ビクターに創造された存在、両方からの叫びに聞こえる。あと大動脈切ってから的確にアキレス腱を切るの完全にアンリの知識で地獄すぎる。
とりあえず以上です。新たに書きたいことが生まれたら追記したり新たに書いたりします。
主要キャスト4人で5000文字超。これが沼。