ぜんぶ盛り

推しへの愛が素直。

「修道女たち」観劇

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 

オーケンの本にちょいちょい出てくる人。

サブカル

みたいなイメージ。

劇団やってんの?へー。

まあなんかおもしろそうだなとは思ってたので。

ちょっとチャンスがあったので観に行くか―。ってな感じで。

紫綬褒章だし。つって。

 

観劇初心者がどうこう言えた話じゃないですけど、面白かったー!!!!

友達さそっていきたかったなー。あれどう思う?って人と喋りたい。

 

 

しょっぱなから不穏。

とある宗教の修道女たちが、事故か何かでたくさん死んでしまう。

生き残った4人の修道女たちは、毎年恒例の巡礼の旅に出る。

妹の墓参りにきた男、出かける準備をするシスターたち。

っていうところからスタート。

もう一言話し始めた時点で「演劇観てるわ~…。」という謎の感慨←

会話はテンポも良くて笑うところいっぱいあるんだけど、ずっと不穏。

 

オープニングの映像と、1人ずつ登場してくるあの感じめっちゃ高まる!!!めっちゃかっこいい!!

二次元のオタクなのでああいうわかりやすいキャラ立てみたいなポージングに弱い。

 

メインのストーリーは、とある雪深い村の山荘で進む。

村の娘オーネジ―、彼女と親しい帰還兵テオ、そして修道女たち。

 

テオとオーネジーとシスター・ニンニの関係性がもうもうもう!!

オーネジーとニンニの間の親密さ、テオのオーネジーへの一途さ、オーネジーのテオへの甘え。

戦場で、自分がいた部隊を地雷で吹っ飛ばして壊滅させて(=自分以外皆殺しにして)(正確には、自分ともう一人、共犯者)まで、戦場から生きて帰って、会いたかった、ただ一人のひと、その人のためだけに生きて帰った、それは、愛なのか?

ただ「オーネジーに会うため」だけに。

そもそも何の思い入れもない隣国の戦争に借り出されただけ、相手が死のうが生きようが関係ない。

隣の部隊が壊滅させられた、それでも戦うことを選んだ部隊の仲間を「どうせ死ぬなら死に方なんて関係ない」と、地雷を踏ませて自分たちだけが生き残るように画策した。

そうまでして会いたい人がいた。そこまでの想いを伝えることはせずに。

あーーーーつらいけどそれは自業自得だし自分の中でぐるぐるとしているだけな気もするよそれはテオ。

皆に対しては常識人だしちょっと素っ頓狂な人が多い中、一見して一番普通というか苦労人ポジなんだけど秘めてる狂気がえぐい。

最後切なすぎて心が鉛みたいになるよテオのことを考えると。

オーネジーがテオに淹れた紅茶も、甘かったんだよ…!!!!!!

最後にオーネジーが選んだのは、ニンニだったけど、でも、オーネジーは間違いなくテオのことも大好きだったんだよ~…!!!!!

彼はそのことをちゃんと知っているのかな…まあ知っていたとしても一緒にはいられなかったわけだから救われないんだろうけどな……。

 

シスター・ニンニが完全に村の娘が憧れてしまうタイプのお姉様みがあって超超素敵でした…。話し方、所作、声、全部素敵…上品…。

テオの気持ちを知ってオーネジーを守るように託そうとするところ胸が締め付けられるし、その後のテオの腕のことを知ってからの態度の翻りとか、彼女もオーネジーのために、彼女への愛のために自分のことを決める人なんだなああと。

その「彼女のために」の動作が自分に向くのか、彼女に向くのかという違いも明確。テオはある意味彼女のためというより彼女のために行動することが自分のためでもある、中心は自分。ニンニは、オーネジーのことを考えるときは彼女が中心にいる、自分がどうこうとかは二の次。そういうところが結末の違いにつながったのでは…テオそういうところやぞ……。

オーネジーとニンニが二人で寄り添っているところ、この二人のあるべき姿、っていうくらいしっくりきていてとても良かった。親密、慈愛、って感じがして。

何かにつけてお互いを気遣い合っているのが、大げさなこと何もしていない目線一つからもひしひし伝わって、よかった………。

ちいさな動物たちが身を寄せ合っているような。

 

シスターノイが「葡萄酒に毒が入っている」という、あくまでうわさ、しかし国王の側近がわざわざ伝えに来た噂、それを取り合わなかったことで多くの修道女たちが死んでしまった。自分はその贖罪のために生かされた。

そして「村が焼かれる」という事実、そして「修道女たちを殺せば村は守られる」というその裏側の真実を知って、なお、村人からもらった葡萄酒を、「飲む」という決断。

院長が「飲むんですよ、こういう時は」と半ばやけっぱちに言ってましたけども。

「飲んで何もなければ村人のその厚意をそのまま受け取り、もし毒が入っていたのなら村を守ろうとしたその気持ちのために犠牲になる」という決断。

ううううう~~~~~~ん…!

正直ここで葡萄酒を飲むのは完全にシスターノイの自己満足なのでは…!?と思ってしまった。他のみんなは聖船出祭の葡萄酒については何も知らなかったわけだし。

「生き残ってしまった」という気持ちをみんな抱えていて、その気持ちから救われたいから飲んだ?

それとも、心から村の人たちのことを思って、そのために飲んだ?

うぅんむ…。賢い人教えてほしい……。

そこからラストの、一緒に葡萄酒を飲んだオーネジーが山荘に戻って来るところもううん?ってなった。あそこは最終的に一緒に列車に乗る=オーネジーも毒で死んだ、ってことで良いんでしょうか。そこはそれ舞台のファンタジーでっていう場面なのか、いやこれはこういう理論で、っていうのがあるのか謎。

 

あと院長の決めきれない感じとか親子の(主に娘の)変化とか全然死なない人とか突然の林原めぐみ様とかいろいろあったり、シリアスかと思ったら笑いがぶっこまれる会話とかもうもう脳みそのいろんなところがマルチタスク的に働きながら見ていた。

地方ちゃんと来てくれるのありがとうございますという気持ちで。