『スリル・ミー』成福大阪昼
成福ペア。
私が観たのは昼公演なんですけど、ソワレで違うアプローチしてたと聞いて白かと思いました←
まあこれがスリルミーの醍醐味なんでしょうけども…。東京と地方の演劇格差どうにかして縮まらんもんかな。
サイコホラーでした。
我々は、何を見たのか…?
前日に観た松柿が「これが…スリルミー…!!!」という感じのスリルミーだったので、あまりにも違いすぎてビッッッッッックリした。
成河私
・こわい。
・やばい。一言目からやべえ奴感がする。
・「座っても…」って言いかけてるのを遮って審理員「始めます」
松下私は「あ~…」ってかわいそう感あったけど、この時点で成河私には「お前は座るな」という気持ちが湧く←
まだしゃべってないのに。
人のことを見下している私。
頭が良さそうなんだけど、それを自覚しているしそれによって人を見下しているのだなというような…。鼻に付く…。なんだろうこれ…。
・かと思いきや19歳の「私」かわいいな!?!?!?!?
かわいいっていうか、福士彼のことが大好きすぎるな!??
「待ってたよ♡」「3時だよね約束は」待たされたのに全然怒ってない。何時間でも黙って待てるこいつ。
まあまあ思ってることが顔に出るタイプですね…?
っていうか、あの、成河私、19歳と54歳で髪型変わってません????
54歳のとき、左側の、流してる方の髪の毛がフワッてしている…。ような気がするだけ…?
・マッチを見つめながら歌う「僕はわかってる」怖すぎるwwwマッチへの圧が強すぎるwwww
「1本のマッチが、火をつけたのです」←火が点いたのは「彼」じゃなくて「私」では?
・「なにそれインディアンじゃあるまいし」ツッコミが流暢すぎて笑うとこかな?って思った
他の人はたいがい「なにそれ!?インディアンじゃあるまいし…」なんだけど、成河私は一息で言うし訝しがり方があからさますぎてコントみたいになってた。
・指切られるところ、腰引けてるし腕ごと背中に回すしでだいぶ拒否が強いww
「僕だけじゃないよね?」も真剣みが強い。
・「スリル・ミー」、まさかの「だきしめてほしー(棒」
なぜそこで感情が死ぬ!?www
抱きしめてほしいんだろ!?
その言い方じゃそりゃかわされるわ…。文句言えないわ…。
その割に「僕の 目 を 見 て」は強いし感情こもりまくってる。
・リュックサック背負ってくるタイプの超人たち…
・「あの夜のこと」、「女に声かけた」が(えっ!?)みたいな顔で、そのあと手握り合って「思い出せない」してる時もめちゃくちゃ不満そうだったw全然アリバイに納得していないww
そして福士彼はグイって押すのに押し返すのが弱すぎて絵面が面白いことになっていた。
・「99年」
怖すぎる。サイコホラー。
めっちゃ笑顔。
ずっと笑顔。
超ニコニコしている。
罪の意識も良心の呵責も何もない。
からの、後述しますけど、フィナーレでなにもわからなくなる…。何を見たんだ我々は…。
「じーーーゆーーーぅ………?」の衝撃ったらなかった。
福士彼
・ビジュアルが優勝。
・足が長い。声が良い。手がきれい。
・成河私の目を見ない。「私」のことを見てはいるけど、目を合わせてくれない。
「スリル・ミー」で「僕の 目 を 見 て」って言われてからあからさまに顔を背けてまで目を見てくれなくなってるの、なにあれ…!?w
あの状況であの対応って、マジかよ。
・煙草吸いながら成河私に煙吹きかけるところも、吹きかけてるというより見向きもしないで普通に吐いたら私が煙浴びてるみたいになってた。けど確実に狙ってないとあの向きに煙なびかない。謎の技術。
・契約書のとき「ここに」でピッて成河私の方を指さす福士彼。かわいいかよ。
・「スリル・ミー」で鞄からやたら盗品を出す福士彼。
めちゃくちゃ中身しっかり確認する。ネックレス?の箱開けるし、謎のマラカスみたいなやつ振るし(あれ上下逆では)。
・「顔゛に゛塩゛酸゛」の勢いありすぎてちょっと面白い。そんな濁点つく!?w
「計画」は総じてちょっと楽しそう。「私」の前では感情あんまりないのに。
あと
彼「俺が一番むかつくやつ」
私「僕?」
彼「僕……以外で。」
観てる私(僕ーーーーーーー!?!?!?!?)
あざとい!!!!なにこれ!?!?!?東京と名古屋も「僕」って言ってたんですか!?
どこだったか忘れたけど、「お前もスリルが欲しいんだろ? ん?」って言っててあざとい゛っ!!!てなった。
福士彼の「ん?」だけでも音源化してくれませんかね(どんな)
・道具を出しては片づけしながら見分する福士彼。几帳面。ロープの片づけ方が特に。
・「スポーツカー」めちゃくちゃ好きでした…!!!
何がって、最後、子どもを連れていくところ、ステージ上の段?(あれなんて呼ぶの?)の上を歩いてるときと、そこから降りて彼の隣を歩いてるときで、手の握り方が違う…。
子どもが見えた…。
あの芸の細かさ…。
あそこで子どもの存在感が明確であればあるほど、その直後のシーンが重たくなるので、(うっっっわ……)て暗澹とした気持ちで観ていた。
優しそうだしこれは着いていくわ子ども…。
・「僕の眼鏡」、わりと序盤から焦る福士彼。
「ありえない!」「おとしてない!!」「あるわけない!!!」って、ずっと余裕がない。
・取り調べを受けた「私」と再会した場面、なんかめっちゃいっぱい言いたいことがありそうだった。
「私」につかみかかるとき、こう、今まで出してこなかった「私」に対する不安とか怒りとかそういうものがブワって噴出したみたいに見えた。
あの時も、あのことも、みたいに、過去まで遡って増幅した怒りをぶつけているような。
・「僕と組んで」の歌い方と声色が完全に「スポーツカー」のそれと同じだった。怖い。明らかに本心じゃない。
っていうかまだ懐柔できると思ってるし、主導権は自分にあると思ってる「彼」。
・だいぶ死にたくなさそうな「死にたくない」
感情自体はあるけど、「私」に対しては全くその変動を見せないので、この場面で初めて感情が動いているように見える。
クールで美しい「彼」が怯えて泣きわめく姿…。
・99年~フィナーレはちょっと怖すぎて吐きそうだったし、そりゃそうなるよな「彼」…。って感じでした。
成河私の「だきしめてほしー」に並ぶ、すべての感情が抜け落ちた「いかれてる(白紙(まっさら(無」でした。そりゃしゃーない。
2人
・彼「俺が寝ているところを見ていればいい」私「ありがとう…(不満げ」
さては私「その」つもり満々だったな!?ってくらい落ち込んでてちょっと面白かった。
そしてしばらくするとめっちゃハァハァしだす成河私。えっ、キモい。←
と思ってたら「少し話してもいい!?」って言いだしたので、あっごめんそっちか。
福士彼の寝姿に興奮してハァハァしてんのかと思ったわ←
・「僕はわかってる」でキスしたあと、「遅れるなよ」って言われながらふら~ってついていく成河私に、絶対にキャッチできない角度と距離でマッチ投げる福士彼。
犬に取って来いさせる飼い主のようだった…。そして投げられて地面に落ちるマッチをよそに、見えなくなるまで福士彼を見送ってから取りに行く成河私。からのマッチへのプレッシャー。
・成河私「こんな話、二度としたくありません」
うそつけーい!!!www
ドヤ顔でお披露目してたじゃねーか。なんなんだお前。
っていうかこの「私」は子どもを殺したことに関して何の後悔も反省もしていない。なぜ仮釈放を認めたのか。良心の呵責ゼロやぞ。
・血でサインする場面で、成河私が出してるハンカチで指をピッて拭く福士彼。
いやお前そういうところやぞ…。
ここにしろマッチにしろまったく怒ってない「待ってたよ」にしろ、「彼」の行動が全部「私」に読まれているような気がしてならない。怖い。
「私」は「彼」の事を好きっていうか彼のことしか考えてないから、思考パターンとか行動原理を網羅していそう。今これしてるから次はこうだな、っていうのが先読みできそうな。
でもそこを読みきれないからこそ面白くて福士彼から離れない大好きなんだろうな…。
・この二人の間には恋愛感情どころか友情すらも無くて、「ゲームの相手」でしかなかったんじゃないだろうか。
ドS彼とサイコ私の、二人にしかできないゲーム。
眼鏡を落としたのは「彼を手に入れるため」じゃなくてただのゲームの一手。「彼」の次の手を観るための変化球。
でも「彼」が「お前は最低だ」「二度と目の前に現れるな」って勝手にゲームを終わらせたから、テーブルにもう一度戻らせるために警察に自白した。「私」が納得しなければゲームは終わらせない。
だからこそ、護送車の中、「99年」は笑顔。「勝ったのは僕だ」がすべての解。相手を自分の思うままにすることが勝利の条件だったのではないかな、「私」にとって。
お互いだけが、自分の思考、理論に付いてこられるだけの頭脳、能力を持っているということは認め合っていたし、どちらが主導権を握るか、要求をのませるかっていうゲームを楽しんでいたことは確かだと思う。
相手の人生のこり全部を手に入れた「私」はこれ以上ない勝利。
しかも「彼」が計画した完全犯罪を成し遂げられないという、彼が天才的頭脳の持ち主であるという自負もプライドも粉々にして、自分が優位に立ったことを証明した。「彼」が完全犯罪を完遂することで得ようとしたもの(社会に対する自分の優位性)を「私」だけが得る。
「彼」にとっては、今まで自分に相手にされることだけ、自分に見てもらうことだけを考えて生きてきた、相手にとって自分が世界のすべてといっても過言じゃないくらいの、完全に人間として下位に位置づけていた相手に立場を逆転され、なおかつ今後の人生をその手の中に握られたんだからもう顔面蒼白にもなりますよね。
だからこそ、フィナーレで「彼」が呼びかける「レイ」という響きには、恋人や親しい友人に呼びかけるような甘さはなくて、対等に勝負ができるゲームの相手として、クールで自信満々で媚びない「彼」っていう「私」が一番望んで愛した理想の「彼」が詰まっているのだと。
思ってたんです。
あの瞬間までは。
帰ってきた「彼」に笑顔で「さあいいか、」と呼びかけていた「私」が、突然不安げな表情になり、「彼」のいる階段の方へ、怯えたような焦ったような必死の形相で駆け寄って、
「だから、スリル・ミー」
客席の方を振り返り、目を見開いて、
「スリル・ミー」
何!?!?!??!?!?!?!?
なにこれ!?!?!??!?!?!??!?!?!?!??!?!?!?!?
えっ、まじで、これ、どういうこと?
観た人全員に訊きたい、これ、どういうことですか…?
なに…?我々は何を見ていたのか…???
1ヵ月程度経ちましたけど、いまだに答えが見つかりません。
あのラストですべてがわからなくなった。
どういうことだったんだ。
なんかサイコ野郎だと思ってた成河私、だんだん人間じゃないのかもしれない…。って思い始めてきた。
いやどうだろうか。
このペアは、様式に則るというよりも演劇的だなと思うっていうか、
松柿がリアル寄りの台詞を台詞と思わせないけど動きは意味深で演劇的というか振りっぽい部分もあったのに対して、成福は根底に台本を感じる台詞の言い回しで演劇してるみを感じた。
伝わる?
どっちが良いとか芝居がどうとかじゃなくて、方向性。
これが大いに違うから複数のペアやキャストでやる意味があるんだけど。
もう、あまりにも別物過ぎて、脚本が一緒だと思えないくらい質感が異なる。
毎回言いますけど、再演早く。待ってます。